日本の高度経済成長に欠かせないモータリゼーションの発展と共に成長を遂げて来たラブホテル業界ですが、ラブホテル草創期の創業者として第一世代にあたる方々の中には既に鬼籍に入られている方々も多く、二代目、三代目が事業を引継ぎ、しっかりと守っている企業も少なくありません。
一方で、ラブホテルを事業として引き継がせたくはない、後継者となるご子息は既に他の道で生計を立てているため、今さら引き継ぐ気持ちはない。などの悩みを抱えるオーナー様も近年、増えています。
意外と多いのが従業員同士のトラブルです。ホテルの現場責任者の多くが悩むのが、この従業員トラブルです。シフト間での仕事の割り振りの問題、清掃状況での責任問題、フロント係と客室清掃係の確執、果ては従業員同士の恋愛感情のもつれまで。
またホテルの老朽化と相まって高くなるのが従業員の年齢です。周りの従業員の年齢が高くなるにつれ、若い人を採用してもそのホテルの環境に馴染めずにすぐに辞めてしまうという悪循環にもなりかねません。
年々、高騰していくのが人件費です。経費のなかで最も大きいのも人件費ですので、ここをいかにコントロールして行くのかがホテル運営の鍵ともなります。ひと昔前は、社会保険や雇用保険にも加入させないホテルもあると聞きましたが、あらゆる情報がネットを介して瞬時につながる時代ですので、未加入問題は経営上のリスクにもなりかねません。
また不思議と従業員同士は違うホテルの従業員と情報交換しているものです。ホテル街という一角に同業が集まっているために自然と顔を合わせるうちに挨拶するようになり、話す機会も増えるようです。良い人を採用するためには、同業者間の労働環境だけではなく、他業種とも競争しなければならない事は言うまでもありません。
部屋数が増えれば増えるほど、不具合の発生箇所も増えてきます。不特定多数の人が訪れては、人気の部屋なら一日に数回転するラブホテルの部屋ではビジネスホテルに比べて痛み具合も早くなり、日々のメンテナンスは欠かせません。一度設置したら終了ではなく、日々の動作確認も怠れません。
浴室のカラン、定量止水の確認はしていますか?設定温度は合っていますか?設定した湯量で止まらずにお湯が溢れていることはないでしょうか。お客様はわざわざ電話して教えてはくれません。これだけでも水道料金に差が出てしまうものです。
利用者にとっては、プライバシー上の問題からラブホテルという秘めた世界では、SNSでの情報発信はあまり盛んには行なわれませんし、フォロワー数は思ったほど伸びないため営業上は使い難いのがSNSです。ただし広告宣伝の方法が限られる4号営業のラブホテルにとっては有効活用したいメディアでもあります。
それ以外にも最近ではLINEによる情報発信やラブホテル情報サイトを使ってのポイント付与や予約手続き、Booking.comや楽天などのOTAサイトの利用ができるなど、今までなかった環境の変化によりITツールの活用は徐々に重要度を増して来ています。
これに加えて従来からある各種のキャンペーンを企画したり、店内掲示POP、客室内インフォメーションの更新といった業務も加わるためホテル責任者やオーナー様の負担は減ることはありません。
こうした営業上の様々な課題を個人オーナー様がひとりで処理し続けることは大変な苦労です。優秀なスタッフが揃っていれば問題はありませんが、そうした頼れる人材がいない時は、所有と運営を分離し、運営のみ外注することも一つの方法となります。
運営を外注する方法には、賃貸借契約、運営受託といった手法が用いられることが一般的です。大手のラブホテルチェーンであれば対応しているため、一度相談してみても宜しいのではないでしょうか。
業界最大手のアイネグループに入社後、アイネより分離独立したRe・stayの設立に携わる。
Re・stayにて管理部門として財務・会計・総務に従事し、不動産証券化も担当、ISO事務局長として業界初の認証取得(9001/14001)を実現する。
業界歴は今年で20年を迎える。